これからのがん治療
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はじめに。
がんの診断をうけた時、治る可能性は高いのか低いのか、もっとも気になる所です。それにはがんの診断内容がおおきくかかわってきます。がんの診断は存在診断、部位診断、質的診断、進展度診断などに分けられます。それらの診断を総合的に判断してどのようながんであるかを見極め治療方針を医師と共に決めます。 担当医と情報を共有して納得するまで話をして治療方針を決めることが一番良いとは思いますが、一般的に今の医療のシステムでは患者側からみてなかなか自分の聞きたいことなどに医療者側が多くの時間をとれないことが現実です。現代の先端医療の恩恵を受け治癒された方は多数います。しかしながら手術の適応にならない方や手術後再発し化学療法、放射線療法などの効果がなく新たな治療手段がなくなった方はどうしたらよいのでしょうか。そのようなことも含めてこのサイトを開設しました。 情報化時代が進み、患者さんや患者さんの家族が、がん治療の情報をインターネットで調べることが容易に出来るようになって来ましたが「がん」に関連するキーワードで検索しても膨大な検索結果が出てしまい、自分に適している治療法かどうかの判断は迷ってしまいます。ほとんどの場合良いことの情報しか掲載されていません。今の医療は今迄の基礎や臨床を積み上げてきたOBM(オピニオン・ベースド・メディスン)です。詳細なエビデンス(科学的根拠)まで載せているページは少ないと思います。限られた時間で回り道をしないでどれだけその情報をもとに最適な治療法を決めるにはいろいろな不安があると思いますし、主治医との関係もあります。もちろんすべての療法、治療に保険が適用となればいいのですが、自由診療では経済的な問題もあります。 混合診療は「全額負担」最高裁が初判断 詳しくはこちらからがん治療。 言うまでもなく、現代のガン治療の柱は、手術と化学療法と放射線療法です。これらを組み合せてて、集学的治療といいます。ところが多くの人が感じているように、患者さんの命を助けようと懸命に努力している医師、そして闘病生活を送っている患者さんに対しては申し訳ないのですが極端な言い方をしたらこれらの治療法は早期がん・治るがん以外では限界に来ています。悪性度の高い進行してしまったがんにおいては、どうしようもない状況はほとんど変わっていません。手術が出来ないほど原発巣が隣接臓器まで浸潤していたり、遠隔転移している場合は化学療法(分子標的薬も使用されることも多くなってきました)や放射線療法(日本には放射線腫瘍認定医が約500人と少ないのが現状です。保険適用とならない放射線治療もあります)をすることが多いのですが、全てのがんとは言いませんが、これらの治療方法は少しばかり延命することを期待するに過ぎない現状は長年変わっていません。 ガンの再発や転移について がん治療を困難にしている理由。 たった1個のがん細胞は10年から20年あるいはそれ以上の長い年月かけて何段階にも変化して悪性のがんは生命を脅かすまで成長するのですが、1個のがん細胞は約30回の分裂で約1cmの塊で1gです。40回の分裂で約10cmの塊で1kgの大きさに成長します。1個のがん細胞から分裂がはじまって30回目あたりでまでの増殖過程は最新の画像診断機器を使っても人間の目はまだ異常影としてとらえることはできません。大きさが1mmのがん細胞の塊は約1,000万個です。早期発見といわれている1cm位の大きさではがん細胞の塊は約1億個です。仮に10cm大の大きさのがん巣が人間の生命を脅かす大きさとして、約1cm位の固形がんではがんの寿命としては4分の3を経過した状態です。顕著な自覚症状がない場合、3DCTなど最新の検査機器を使って検査をしても数mmの固形がんは一般的には早期発見は出来ないのが現状です。この状態ではほとんど自覚症状はありません。 40回分裂して1kgの大きさですから、分裂が約30回目以降でないと発見できないのです。このことは、早期であっても細胞レベルでは30回目以降の分裂ですからはたしてその時点で本当に早期と言えるのか疑問に思えますが。ただし細胞分裂の過程は様々な要素がありますのですべて一定とは限りません。分裂が驚くほど早いがん細胞(がん巣)もありますし、1年間たっても大きさが変わらないがん細胞(がん巣)もあります。悪性度が高いがん細胞ほど分裂の速度は速くなります。 臨床、基礎研究で多くの医師、化学者が長年にわたって研究しているのにかかわらず今後さらにがんによる死亡率、罹患率がますます増加すると確実に予想されます。末期になってしまった場合、完璧な治療法がないというのが現状です。平成十九年四月一日からがん対策基本法が施行されましたが、極端な言い方をすればがんの病変が発見された時、大きくても小さくても「治るものは治るし、治らないものは治らない」としか言わざるをえない状況は何十年も変わっていません。 こらからのがん治療。 2003年にヒトゲノム計画が完了し近年悪性の腫瘍免疫の分子機構がしだいに明らかになってきました。悪性の腫瘍抗原を支配する遺伝子まで特定されてきました。今後はこのような分子生物学にもとづいた様々な免疫治療の研究が進むと思われます。遺伝子治療(がんワクチンなど)を用いてがん抑制遺伝子を活性化させようとする研究、治療も現在おこなわれるようになってきました。今後ますます遺伝子治療、科学的根拠が証明されている免疫治療などはがん治療の上で果たす役割は増していくでしょう。 患者さんに適した治療を行うためには、医療者側にも新しい医学知識、技術や医療情報が当然必要です。これからのがんの治療は、遺伝子治療を含めた現代医学と免疫治療も分かる専門医が一緒になって患者さんの治療法を考える必要があると思います。外科医も手術だけではなく化学治療、放射線治療や新しい治療法について知見が必要だと思います。おのずと全体的な知識と技術を要求されます。そのため現在はチーム医療の時代になって来ました。医療が高度になった分だけ患者さん側も勉強して医師に対応しなければなりません。インフォームド・コンセントの必要性が叫ばれているのも実はがんの診断法の進歩と治療法が多様化した事と情報化に密接な関係があります。患者さん側ががんの医療について勉強し知識をそなえておく必要があると思います。主治医と強い信頼関係があれば別だと思いますが「すべて先生におまかせします」というのはあまり望ましいものではありません。これは医療者側のやりすぎを黙認してしまうことにもつながりかねません。 末期になってしまった場合治療法も限られてきますが、積極的な治療をしないターミナルケアも選択肢の一つです。 また別の専門医に診断や治療の意見を求める道としてセカンドオピニオン(第二の意見)があります。目的はこれまでの治療はこれで良いのか、これからの経過はどうなるのか、さらにこれからの治療方針はどうしたらよいかなどを別の専門医に意見を聞くことがセカンドオピニオンです。 これを取り違えて、主治医と折り合いが悪いから病院を変えたい、主治医に治療の相談をしても話を聞いてくれない、希望する治療を断られて、転院をすすめれたなど、コミニュケーションがうまくとれてないことでセカンドオピニオンをうけることがありますが、気持ちはわかりますがこれでは得ることがあまりありません。そのために遠方の病院に出向く場合などは、治療の開始が遅れてしまうこともあります。どの点に意見がほしいか考えて臨むことにセカンドオピニオンの意義があります。今のセカンドオピニオンでは担当する医師により治療選択の違いがあります。外科医であれば当然手術を第一選択に考えると思いますし、内科医であれば化学療法をすすめる可能性もあると思います。最終的な判断は患者さんが決める事になります。決して自分にとって都合の良いことを言ってくれる医師を求めてはいけないと思います。 今のがん治療は外科医、内科医、あるいは放射線医を含めた「集学的治療」を設備の整った総合病院では行っております。患者さんの病気について最善な治療法を決めますが、その治療法で治癒できなかった場合はどうすればよいのでしょうか。最新の治療から遺伝子治療も含め、がん免疫治療まで実際のがん治療の医療現場で活躍している外科医、内科医や各領域の専門医、そして免疫治療に携わっている医療機関、医師の協力のもと先端医療(新しい治療法が全て良いとは限りませんが)の情報を提供したいと思っております。免疫力について。 身体の免疫力について少しお話したいと思います。最新の検査機器で検査してもかりに自覚症状があったとしても固形がんでも5mm以下は発見できないのが現状です。固形がんは2〜3mmのものからさらに増大する為には血管新生が必要です。がん巣の増大に伴ってがん巣の中心は壊死状態になってきます。壊死組織の周囲に低酸素に耐えることのできるがん細胞と血管新生によって血流が存在する常酸素がん細胞にわかれます。低酸素がん細胞はさらに酸素を必要としないがん幹細胞となります。がん幹細胞は中心の壊死組織を発酵させて栄養をとりながらゆっくりとした増殖スピードで細胞分裂します。がんの治療の標的はこのがん幹細胞となります。「免疫力をあげればがんは治る」この免疫至上主義が、がん免疫治療における誤解があります。免疫力は上げようと思っても上げることが出来るものではなく、免疫力が下がる要因は様々あります。そしてがんがその本性をあらわすのは最後の数ヶ月間です。それまではどんな治療もある程度の効果があったように見えます。そして人間のがんに対する免疫力は、血管新生がおこる2mmのがんまでなのです。免疫力の働かない理由はがんの行動的な特性にあり、がん巣の増大とともにその遺伝子的性質も変化させていくことがわかってきました。 しかし基礎、臨床など様々な専門領域の研究が進み、近い将来、遺伝子治療、免疫力でがんを抑制することは可能なことだと思っております。がんは遺伝子の病気である以上、遺伝子レベルでの研究が進むと思われます。遺伝子治療先進国の米国では2000例を越すがん遺伝子治療の結果、試験的医療と言う位置付けで公表されています。国内でも第2世代がん遺伝子治療が前臨床段階に入りました。無害化したウイルスを治療用がん遺伝子のベクターとして投与します。現在国内でも治験が行われています。今後もさらに効果と安全性などの基礎研究、情報公開に向かっています。 国内でがん遺伝子治療の治験を行っている施設です。 免疫とはからだの自己防衛機構です。 免疫系の特定の細胞が異常をきたすと、がんなどを発症させるからです。リンパ球(NK細胞など)が40歳をすぎると毎日数千個発生するガン細胞を認識しどのようにガン細胞を修復させ正常な細胞にするか、はっきりわかってきましたした。細胞をガン化させる遺伝子まで特定されてきました。このような分子生物学にもとづいた様々な免疫治療や遺伝子治療の研究が今後進むと思われます。遺伝子治療(がんワクチン)を用いてガン抑制遺伝子を活性化させようとする研究、治療も現在さかんにおこなわれるようになってきました。今後ますますガン免疫治療の果たす役割は増していくでしょう。しかし細胞が、ガン化するきっかけはさまざまで、イニシエーター(正常な細胞のガン化を引き起こす原因となる発がん物質や要因)とプロモーター(がん細胞を促進する物質や要因)の関係もありますがガンと人間の免疫機構は大きく関わっています。確かに免疫治療は「副作用が少ない」「身体にやさしい」などの言葉は先行していますが科学的根拠は確立されておりません。 2011年、スタインマン教授は外敵にさらされてできる獲得免疫で大きな役割を果たす樹状細胞を発見し、感染症やがんなどの治療法開発に貢献した功績によりノーベル医学生理学賞を受賞しました。ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった後、死去が判明しました。ロックフェラー大学のラルク・スタインマン教授は4年前に膵臓癌と診断され自らの研究成果の「樹状細胞」を用いて免疫療法を受けていました。大学側は免疫療法によって延命されたと発表しました。強力な免疫を高めるため8種類前後の療法を行い、抗がん剤も併用していました。免疫作用を高める療法は最近世界的に広がってきました。受賞によって同分野の研究が加速するとの期待は大きいのですが、一方で癌の種類や進達度によって大きく変わるとの意見もあり、免疫療法が延命に結びついたと結論づけるのは、この分野の研究への阻害になると言う意見もあります。 免疫治療の考え方。 体内の免疫細胞を使って自己の免疫力を上げてがんの縮小を期待する治療法です。 1960年代後半から行われてきました。第1世代から今は第4世代と言われるほどになってきました。現在確立されている手術、抗がん剤、放射線治療法以外の第4の治療法とまで呼ばれていますが、がん治療において第一選択とする方はほとんどいません。保険適応ではなく第4の治療法には確立されていません。今の標準的治療で再発あるいは治療方法がなくなった場合に受ける方がほとんどです。また一部を除いて自由診療です。この免疫治療法に対して否定的な考えを持つ医師も少なくありません。理由としてがん細胞を認識あるいは抑制できなかったリンパ球、NK細胞などの免疫力ではたしてがん細胞を抑制できるのかという問題です。私達の身体の中ではある程度の年齢になるとがん細胞になる前の異形成の細胞や何千個とも言われるがん細胞が毎日発生しています。体内の免疫システムが抑制してがん細胞の増殖を抑えているわけですが、その免疫システムをくぐりぬけて増殖してきた数少ないがん細胞ですので、再発した場合や隣接する臓器にまで浸潤している場合は免疫療法などで免疫力をいくら上げたとしてもはたして抑制できるのかということもあります。 最近の臨床報告では確かに再発したがんが免疫治療により縮小したり肉眼的に消失した症例はありますが、長期不変状態などを含めてなかなか厳しい状態です。原発巣が発見された臓器別にがんの名称がついていますが、がんと言っても様々な組織分類があります。肉眼的所見もありますが、正確には細胞診あるいは術後の摘出標本を顕微鏡で診て組織分類されます。組織分類の数は臓器によって違いはありますが多数にわかれています。悪性度が高いがんほど細胞が未分化のかたちをしています。たとえば原発巣が乳がんでも胃がんでも自由診療の免疫治療法は一律にほぼ同じ治療をする場合が多いことに矛盾を感じます。がんは全身病ですが少し極端ではないでしょうか。インフォームドコンセントの重要性が問われます。 免疫療法は様々ありますが、ほとんど保険適応ではなく自由診療です。また早期といわれる癌の治療に第一選択で用いられることはまずありません。手術、抗がん剤、放射線治療などの治療をうけた後、治療法がなくなり末期になってしまった状態で免疫治療などの治療(自由診療)を選択する場合が多いのですが、免疫療法などが一般的に行われている癌の標準的治療より有効であれば早期と言われる段階で使用してもいいと思いますが、まだ正確な科学的根拠が解明されていないのが現状です。医学全般で言えることですが免疫治療も発展途上の段階です。今後の研究に期待する分野だと思っています。 今の診療は大学病院をはじめがん専門病院など各専門分野に別れています。学会もかなり専門分野に別れています。もちろん病気は慢性疾患を含めて多数あります。ガンの病気だけでも日本がん学会を初め各領域の専門性があり。例えば胃がんでも外科学会、消化器外科学会、胃がん学会、がん治療学会など多くの学会があります。そして毎年総会が開かれて多くの演題が発表されます。また各領域の「認定医」「専門医」の制度もあります。この制度は医療者側からみて意見は様々ありますが一般的に考えて「認定医」「専門医」の肩書きのある医師の専門性に期待できます。「認定医」「専門医」にならなければ、違う領域の診療、治療出来ないと言うことはないのですが、それだけ専門性が問われる医療システムになってきたということです。当然ですが誰でもその領域の症例数が多く治癒率も高い信頼のおける医師のいる病院で総合的に治療を受けたいと思うでしょう。理想的な治療。 がんは言葉のうえでは不治の病でなくなったとはいえ、なお日本人の3人に1人ががんで亡くなっている現状があります。さらに今後罹患率、亡くなられる方が増えると予想されます。心のケアーもまだ十分とは言えません。クオリティ・オブ・ライフ、手術の術式の選択(最近は拡大手術から縮小手術に変わってきました)もありますが、一般的に手術でがんの病片をすべて摘出されれば問題はないと思います。手術がすべて第一選択というわけではありませんが、放射線治療が第一選択になる場合もあります。 手術した時点で将来再発するかしないかは分かりませんが、もし再発、遠隔転移が早期に発見されたとしても状態は深刻になります。また発見された時には再手術の適応とならない場合もあります。そのために様々な治療法を選択することになりますが、現時点では決め手となる治療法はありません。再発したがん巣が大きくならずに複数の遠隔転移をおこさなければ生活の質を損ねることなく共存することも可能です。また最初から手術の適応とならない場合でも、がんと共存することが出来れば良いのですが。もちろん精神的なケアも大切なことは言うまでもありません。患者さんにとって必要なことは自分にはどの治療法が適しているか、親身になって考えてくれる医者だと考えます。医者と患者はもともと一方的な関係になりやすいものです。極端な話、医療者側が一方的に話をして患者側が聞く、そんな雰囲気が長い間に出来上がって来てしまいました。 できることならこの情報化の時代、病院の組織を超えてその人だけの最強医師団を作りたいとも思っております。正確な医療情報もホームページ上で発信します。また今のがん治療についてわからない事がありましたら下記メールよりお問い合わせ下さい。出来る範囲でお答えいたします。 ご協力していただける方々、医療関係者のお問い合わせをお待ち致しております。新しいタイプのセカンドオピニオン医療システムの構築を制作したいと思います。 |
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2012年1月免疫治療の考え方を加筆しました
2011年10月25日混合診療は「全額負担」最高裁が初判断 2011年7月がん治療の施設別データを公開 国立がん研究センター がんの遺伝子検査について ガンの再発や転移について |
Windows Media 横320pixel縦240pixelの動画が見られます。 |
がん、治癒への闘い! Vol.1 肺癌編 1993年制作監修 癌研究会附属病院呼吸器外科部長 中川 健 現 がん研有明病院院長 現在がんの部位別死亡率は肺がんです。癌研究会附属病院呼吸器外科をあますところなく取材し、検査から診断、手術へと至る肺癌治療の全容を収録しました。当時と比べて手術は縮小手術に移行していますし、検査機器も格段の進歩を遂げましたが、基本的なことは約20年前と大きく変わっていません。実際の手術映像も収録してあります。32分の映像をすべて公開いたします。制作 グラフィティ |
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